スペイン紀行〜モロッコ編#6〜テトゥアン メディナの絨緞屋
2009年 09月 07日
通りでは、観光客狙いの物売りがついてきて回ります。
アクセサリー、衣装、ベルト売り、偽ブランド物の時計、なぜかトルコ帽、いろんな物売りがしぶとくついてきて、煩わしいにもほどがあります。
市街を一旦抜けると、開かれた広場のような空間に出ました。王宮だそうです。※クリックすると拡大できる画像もあります
周囲に柵が張り巡らされ、敷地内に立ち入ることはできません。警備員が随所に配備されています。旧市街地の雑然とした雰囲気とはうって変わった空間。写真を撮りながら、この国の実情に思いを巡らせます。
再び入り組んだ迷路に入り込みます。やがてゴリラーマンの足取りが緩くなりました。
「次はモロッコのアンティークストアだよ、安くていい品が揃っているよ、じっくり見てね」
かなり大きな店構え。入り口の割に中は広く、奥深く、しかも二階建てです。相当稼いできたものと思われます。古い家具や様々なインテリア小物が所狭しと並べられ、アラビアン風のエキゾティックなデザインが目につきます。しかし、どうも購買意欲をそそりません。
ひとつは「本当に値段当たりの価値があるアンティークなのか?」という疑問。もう一つは、古い物が多い家独特の、カビ臭いような臭いが鼻につき、商品管理がちゃんとされているのだろうか? という不安。アンティーク小物大好きの私でも、それだけでもうこの店はパスです。
アンティーク物の他にお土産用の手頃なサイズの商品も置かれていましたが、質の割に値段が高すぎです。ツアー仲間の若い女性が、小さなかわいい置物に興味を示しましたが、16ユーロの値札にドン引き。
側に居合わせた私に「16ユーロだって....ちょっと高すぎない...?」と目をまんまるにして苦笑い。
「高いよ、それは〜いくらなんでも。私なら買わないよ」
彼女、ゴリラーマンを頼って値引き交渉を始めましたが、さて、どうなったのか....
私はこういう店は嫌いです。どんなに欲しいな、と思える物があっても買いません。幸いこの店に欲しい、と思える物はありませんでしたけどね...
メディナの中をあれだけすたすた早足で進んだゴリラーマン、なぜか店ではたっぷり時間を取っています。店と連携してツアー客を運び込んでいるのでしょう。1ツアー運んでいくら、なのか、売り上げに応じたマージンを取っているのか、後者だとしたらゴリラーマンに相談しても無駄なこと。関わらないのが一番です。せめてもの救いは、ハエも真っ青なしつこさの物売りからしばし解放されたこと。ストリート物売りは店内には入って来ることが出来ませんから。
アンティークストアを出て、またしばらくスタスタ縦横無尽に進むゴリラーマン。「これから、見晴らしのいい所にいくよ。街を見渡せるよ、テイクピクチャー、テイクピクチャー!」
写真を撮るかどうかはこっちが決めることで、押し付けられて撮るものではありません。テイクピクチャーには軽くイラっときましたが、そこは抑えて彼の後に付いて行きます。
建物の入り口には機織り機と、美しい文様が織り込まれた、確かに素晴らしい絨毯、ラグのたくい。ゴリラーマンは伝統工芸品の素晴らしさについてひと語りしています。
モロッコ絨毯の博物館?
と、思いきや、奥に入っていくと、さらに多種多様なデザインとサイズのラグが、壁に床に、びっしりと並べられています。どうやらここは絨毯屋のようです。
主人と従者、とおぼしき二人の男が出て来て、ゴリラーマンとともに上の階へと私たちを導きます。狭く急な階段をずっと上って行き、いい加減息が切れかかったところで屋上に到達。そこでは市街を一望のもとに見渡すことができました。
先ほどの絨毯部屋に通されます。ツアー参加者が最小単位グループに分けられ、別々に応対されます。私たちには、店主とおぼしき男がつきました。
ちっ...ついてないな...
「どうです、モロッコ手作りじゅうたん。お安く提供しますよ!」
カーペットを、次々と出して来ます。大きい物から小さいラグまで、どんどん、どんどん出てきます。「これは?」「これはどうです?」
どれにも関心を示さない私に、店主の表情がこわばってきます。
これはかなり悪どいやり口です。買い気を見せない客に、威圧感をにおわせ、さらには買わないことに何となく罪悪感を抱かせる。矢継ぎ早に商品を見せつけ、考える隙を与えまいとするような心理戦。小柄な東洋人の女、とタカをくくったのでしょう。「やれやれ.....」と思いながらひとまず「大きいのは要らないよ」と言います。
はっきり言って絨毯に興味はありませんし、だいたい10畳くらいの大きさの絨毯を買って、どうやって持って帰るんすか(^ ^;) 「送るよ、送料は安いよ!」と言っていますが、そこまでして欲しい物でもありません。
従者がミントティーを出してきました。
「さあ、これはモロッコのおいしいミントティーだよ。飲んでみて、私からあなたへの好意を表すおもてなしだよ」
この辺りから、こっちも次第に戦闘モードに入ってきました。こっちが茶を頼んだ覚えはありません。恩着せがましい。ビールでも出して来たならともかく.....←おいっ
やがて彼、こんなことを言い出してきました。
これから一枚一枚見せるから、イエスかノーか、アラビア語で言え、私はあなたに友好の気持ちを表して英語で話している、今度はあなたがアラビア語で私に友好の意を示してくれー。
いやーっ、ホント押し付けがましっつーのっ(^o^;)
いったいどういう論理でしょう、心の中で苦笑してしまいました。
なあんで買い手が売り手に媚びなあかんねん??
押し売り寸前、催眠商法すれすれの実にうざったい売り方。しかしそっちがそうなら、こっちも受けてたちましょう。
初めはさっさと退散するつもりでしたが、出して来た物のその中に、玄関マットに良さげな私好みの手織りラグがありました。モロッコのお土産、全く買ってなかったし、何か欲しいな、と思ってはいたのです。
がっつり値切ってやるわい
ふざけたイェス•ノーゲームを適当なところで切り上げます。
「もういい、大きいのはいらない。小さいこのラグ、いくら?」
店主「OK、OK。安くしておくよ〜、370ユーロ!!!」
当時レートで370ユーロ≒51,800円。
勘弁しておくれやす.......ヽ( ´_`)ノ
「世界に一点しか無い手作りの工芸品だよ」とかなんとか、まだほざいていますが、もう聞く耳は一切ありません。
店内を何気に見回しながら、ちょっと考えます。
「多分原価は良くて10分の1か、それ以下。せいぜい30ユーロくらいで貧しい農家の機織り娘(おばあさんかもしれないが)から安く買いたたいてがっぽり利益を上げてきたはず」
「これだけたんまり在庫を抱えていたら、はっちゃきになって売らないと商売が回っていかないはず」
「原価30ユーロと仮定して、絨毯屋も交通費、人件費その他諸経費はかかっているはず。その上にわずかでも利益をのせてやって.....」
というわけで、
「うん、50ユーロ(約7,000円)」と言いました。ほんとは30ユーロ、って言いたかったのですが。つくづくお人好しです。
慌てた店主、(慌てた振り、かもしれません)270、180、と言い値を落としてきます。しまいに「こっちが譲歩してるんだから、あなたも値を譲歩して下さい!」ときました。
何であんたのルールに従わなきゃならん?
怒る気も失せてきました。
「私は駆け引きはしないよ。最初に言った50ユーロが最高値。でなければこの取引は終わり!」
そう言い捨てて、出口の階段へ足を向けました。
ツアー御一行様、いざ出発....
と、そのとき、絨毯屋が階段を駆け下りてきました。
ゴリラーマンに何か話しかけています。
「170でどうか、って言ってるよ?」とゴリラーマン。
「いや、いらない」とそっぽを向きます。
店主、またしばらく誰かと話していましたがついに「OK、OK、50ユーロだ」ーやっと商談成立です。
シュックラン♪ ←ありがとうという意味だそうです。
というわけで手に入れた毛織物の絨毯がこれ。 赤をベースに、黄、白、黒のビビッドなマルチカラー。モロッコのかわいい機織り娘が丹精こめて手織った珠玉の伝統工芸品、もちろん世界に一つしか無い一点物です。
サイズは72センチ×156センチ。玄関、お部屋のアクセントにぴったりのお手頃サイズです!
現地通常価格51,800円相当のところを特別価格35,800円でご提供!(送料別途申し受けます)
いかがですかっ!!
アクセサリー、衣装、ベルト売り、偽ブランド物の時計、なぜかトルコ帽、いろんな物売りがしぶとくついてきて、煩わしいにもほどがあります。
市街を一旦抜けると、開かれた広場のような空間に出ました。王宮だそうです。
周囲に柵が張り巡らされ、敷地内に立ち入ることはできません。警備員が随所に配備されています。旧市街地の雑然とした雰囲気とはうって変わった空間。写真を撮りながら、この国の実情に思いを巡らせます。
再び入り組んだ迷路に入り込みます。やがてゴリラーマンの足取りが緩くなりました。
「次はモロッコのアンティークストアだよ、安くていい品が揃っているよ、じっくり見てね」
かなり大きな店構え。入り口の割に中は広く、奥深く、しかも二階建てです。相当稼いできたものと思われます。古い家具や様々なインテリア小物が所狭しと並べられ、アラビアン風のエキゾティックなデザインが目につきます。しかし、どうも購買意欲をそそりません。
ひとつは「本当に値段当たりの価値があるアンティークなのか?」という疑問。もう一つは、古い物が多い家独特の、カビ臭いような臭いが鼻につき、商品管理がちゃんとされているのだろうか? という不安。アンティーク小物大好きの私でも、それだけでもうこの店はパスです。
アンティーク物の他にお土産用の手頃なサイズの商品も置かれていましたが、質の割に値段が高すぎです。ツアー仲間の若い女性が、小さなかわいい置物に興味を示しましたが、16ユーロの値札にドン引き。
側に居合わせた私に「16ユーロだって....ちょっと高すぎない...?」と目をまんまるにして苦笑い。
「高いよ、それは〜いくらなんでも。私なら買わないよ」
彼女、ゴリラーマンを頼って値引き交渉を始めましたが、さて、どうなったのか....
私はこういう店は嫌いです。どんなに欲しいな、と思える物があっても買いません。幸いこの店に欲しい、と思える物はありませんでしたけどね...
メディナの中をあれだけすたすた早足で進んだゴリラーマン、なぜか店ではたっぷり時間を取っています。店と連携してツアー客を運び込んでいるのでしょう。1ツアー運んでいくら、なのか、売り上げに応じたマージンを取っているのか、後者だとしたらゴリラーマンに相談しても無駄なこと。関わらないのが一番です。せめてもの救いは、ハエも真っ青なしつこさの物売りからしばし解放されたこと。ストリート物売りは店内には入って来ることが出来ませんから。
アンティークストアを出て、またしばらくスタスタ縦横無尽に進むゴリラーマン。「これから、見晴らしのいい所にいくよ。街を見渡せるよ、テイクピクチャー、テイクピクチャー!」
写真を撮るかどうかはこっちが決めることで、押し付けられて撮るものではありません。テイクピクチャーには軽くイラっときましたが、そこは抑えて彼の後に付いて行きます。
建物の入り口には機織り機と、美しい文様が織り込まれた、確かに素晴らしい絨毯、ラグのたくい。ゴリラーマンは伝統工芸品の素晴らしさについてひと語りしています。
モロッコ絨毯の博物館?
と、思いきや、奥に入っていくと、さらに多種多様なデザインとサイズのラグが、壁に床に、びっしりと並べられています。どうやらここは絨毯屋のようです。
主人と従者、とおぼしき二人の男が出て来て、ゴリラーマンとともに上の階へと私たちを導きます。狭く急な階段をずっと上って行き、いい加減息が切れかかったところで屋上に到達。そこでは市街を一望のもとに見渡すことができました。
先ほどの絨毯部屋に通されます。ツアー参加者が最小単位グループに分けられ、別々に応対されます。私たちには、店主とおぼしき男がつきました。
ちっ...ついてないな...
「どうです、モロッコ手作りじゅうたん。お安く提供しますよ!」
カーペットを、次々と出して来ます。大きい物から小さいラグまで、どんどん、どんどん出てきます。「これは?」「これはどうです?」
どれにも関心を示さない私に、店主の表情がこわばってきます。
これはかなり悪どいやり口です。買い気を見せない客に、威圧感をにおわせ、さらには買わないことに何となく罪悪感を抱かせる。矢継ぎ早に商品を見せつけ、考える隙を与えまいとするような心理戦。小柄な東洋人の女、とタカをくくったのでしょう。「やれやれ.....」と思いながらひとまず「大きいのは要らないよ」と言います。
はっきり言って絨毯に興味はありませんし、だいたい10畳くらいの大きさの絨毯を買って、どうやって持って帰るんすか(^ ^;) 「送るよ、送料は安いよ!」と言っていますが、そこまでして欲しい物でもありません。
従者がミントティーを出してきました。
「さあ、これはモロッコのおいしいミントティーだよ。飲んでみて、私からあなたへの好意を表すおもてなしだよ」
この辺りから、こっちも次第に戦闘モードに入ってきました。こっちが茶を頼んだ覚えはありません。恩着せがましい。ビールでも出して来たならともかく.....←おいっ
やがて彼、こんなことを言い出してきました。
これから一枚一枚見せるから、イエスかノーか、アラビア語で言え、私はあなたに友好の気持ちを表して英語で話している、今度はあなたがアラビア語で私に友好の意を示してくれー。
いやーっ、ホント押し付けがましっつーのっ(^o^;)
いったいどういう論理でしょう、心の中で苦笑してしまいました。
なあんで買い手が売り手に媚びなあかんねん??
押し売り寸前、催眠商法すれすれの実にうざったい売り方。しかしそっちがそうなら、こっちも受けてたちましょう。
初めはさっさと退散するつもりでしたが、出して来た物のその中に、玄関マットに良さげな私好みの手織りラグがありました。モロッコのお土産、全く買ってなかったし、何か欲しいな、と思ってはいたのです。
がっつり値切ってやるわい
ふざけたイェス•ノーゲームを適当なところで切り上げます。
「もういい、大きいのはいらない。小さいこのラグ、いくら?」
店主「OK、OK。安くしておくよ〜、370ユーロ!!!」
当時レートで370ユーロ≒51,800円。
勘弁しておくれやす.......ヽ( ´_`)ノ
「世界に一点しか無い手作りの工芸品だよ」とかなんとか、まだほざいていますが、もう聞く耳は一切ありません。
店内を何気に見回しながら、ちょっと考えます。
「多分原価は良くて10分の1か、それ以下。せいぜい30ユーロくらいで貧しい農家の機織り娘(おばあさんかもしれないが)から安く買いたたいてがっぽり利益を上げてきたはず」
「これだけたんまり在庫を抱えていたら、はっちゃきになって売らないと商売が回っていかないはず」
「原価30ユーロと仮定して、絨毯屋も交通費、人件費その他諸経費はかかっているはず。その上にわずかでも利益をのせてやって.....」
というわけで、
「うん、50ユーロ(約7,000円)」と言いました。ほんとは30ユーロ、って言いたかったのですが。つくづくお人好しです。
慌てた店主、(慌てた振り、かもしれません)270、180、と言い値を落としてきます。しまいに「こっちが譲歩してるんだから、あなたも値を譲歩して下さい!」ときました。
何であんたのルールに従わなきゃならん?
怒る気も失せてきました。
「私は駆け引きはしないよ。最初に言った50ユーロが最高値。でなければこの取引は終わり!」
そう言い捨てて、出口の階段へ足を向けました。
ツアー御一行様、いざ出発....
と、そのとき、絨毯屋が階段を駆け下りてきました。
ゴリラーマンに何か話しかけています。
「170でどうか、って言ってるよ?」とゴリラーマン。
「いや、いらない」とそっぽを向きます。
店主、またしばらく誰かと話していましたがついに「OK、OK、50ユーロだ」ーやっと商談成立です。
シュックラン♪ ←ありがとうという意味だそうです。
というわけで手に入れた毛織物の絨毯がこれ。
サイズは72センチ×156センチ。玄関、お部屋のアクセントにぴったりのお手頃サイズです!
現地通常価格51,800円相当のところを特別価格35,800円でご提供!(送料別途申し受けます)
いかがですかっ!!
by nollipolly
| 2009-09-07 15:37
| Trip